定期的に行おう!キャリパーの掃除をしつつ各部のメンテナンス!
2018/03/30
ブレーキキャリパーは長く使っていると、ブレーキダストやタイヤが巻き上げたゴミが付着する。
その付着したゴミをそのままにしておくと、ブレーキが軽く効いた状態の【引きずり】やキャリパーピストンの【固着】に繋がる。
引きずりならまだ動かせるが、固着はバイクを動かせなくなってしまう。
だが、引きずりも放ってはおけない。
引きずりはブレーキを若干効かせている状態なのでバイクの押し引きが辛くなる。
もちろん燃費も悪くなるし、走行中もブレーキが効いてる状態なので、ブレーキディスクを摩耗させる。
ブレーキを一定の力でかけた時に、ブレーキが効いたり効かなくなるのをリズム良く繰り返すのは、ブレーキディスクが薄くなり、熱で曲がってしまった状態なのでブレーキディスクを交換しよう。
ブレーキディスクは消耗品で、大体のメーカーの使用限界が0.5mm消耗した所だ。
ブレーキディスクには使用限界の厚さが記入されているので、ノギスなどで計ってみよう。
その他の方法としては、ブレーキディスクをパッドが当たっている部分と当たっていない部分を指でなぞってみよう。明らかに段差を感じたら使用限界だ。
厄介なトラブルに繋がる前に交換を考えよう。
ブレーキはメンテンスするにももちろん注意が必要!
自身が無かったらバイク屋に任せよう!
自分で作業する場合は自己責任で!
準備するもの
- ヘックスレンチ(ソケット)
- メガネレンチ(ソケット)
- マイナスドライバー 3番
- ナイロンブラシ
- ワイヤーブラシ
- 食器用洗剤
- パーツクリーナー(ゴム製品に対応したもの)
- シリコングリス
- ネジロック剤
キャリパーを車体から外すのに、ヘックスレンチ又はソケットが必要だ。
車種によってはヘックスボルトではなく、普通のボルトの場合もあるのでメガネレンチ又はソケットを用意しよう。
キャリパーをとめているボルトはネジロック剤が塗布されているのと、走行中に巻き上げた水やゴミが付着しているのが原因で、かなり固くなっている。
なのでソケットレンチを使おう。モンキーレンチは舐めやすので間違ってもを使わないように!
キャリパーを車体から外す!
まずは、キャリパーをとめているボルトを外します。
ヘックスレンチは安価で使いやすい工具だが、ヘックスソケットはヘックスレンチで緩まないほどの固いボルトも外せるので、ぜひ試して欲しい。
今回のボルトもヘックスレンチでは緩まなかったので、ヘックスソケットを使って外した。
ボルトを緩めたら、キャリパーを外す前にパッドピンのカバーのボルトを外そう。
このボルトはマイナスの溝が切られていて、マイナスドライバーで外すしか無いが、簡単に舐めてしまいやすい部分なので、しっかりとしたマイナスドライバーを使おう。
普段使いがちな2番のマイナスドライバーは簡単に舐めるので、3番のマイナスドライバーでしっかり力を伝えよう。
カバーを外すと、パッドピンが出て来るので外そう。
そうするとブレーキパッドがキャリパーから外せるようになる。
キャリパーとパッドが外れた!徹底的に掃除と点検しよう!
シムとパッドスプリングの組まれ方を確認しておくこと!
ふとした時に落ちたり、何の気なしに外してしまう部品…。
それがシムとパッドスプリングだ。
シムはパッドの裏に貼り付けられていて、断熱、パッドの鳴き止めを防止してくれる部品。
パッドスプリングは、パッド鳴き止め、パッドの水平を保ってくれる部品。
決して不必要な部品では無いので、外したら必ず元通りに組み直そう。
シムはシリコングリスを塗布して組み付けよう!
パッドピンの摩耗は要確認!
外したパッドピン。表面のコーティングがパッドの移動により剥がれてしまっている。
サビが発生しているのでサビ落としをしっかりやろう!
パッドピンはパッドが触れている部分に段差が無いことをしっかり確認すること!
段差が無ければ良いが、段差がある場合はパッドがスムーズに動かなくなってしまう。
段差を発見したら新品に交換しよう!
メーカーによってはステンレス製でサビにくいパッドピンを発売している。
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キャリパーを固定していたボルトはサビッサビ…。
ステンレスブラシか真鍮ブラシでサビをしっかり落とそう。そのままにしておくとサビで朽ちて使えなくなってしまう。
時間はかかるが、サビ落としも目に見えて変わってくるので作業していて楽しい。
ワイヤーブラシでもここまでサビ落とし出来るので試してみて欲しい。
パッドの残量を確認!
外したパッドはまだ残量はあるが、もう少し走行したら交換を考えても良い状態。
ちなみにこのキャリパーは取り付けに間違えることはない左右非対称だが、左右対称のパッドの場合は当たり面が変わってしまうので、元々どっちについていたか分かるようにマークしておこう!
使用できるパッドと使用限度がきたパッド
一目瞭然だと思うが、上がまだまだ余裕があるパッドで、下が使用限界がきたパッド。
ここまでキッチリ使い切る必要は無いので、こうなる前に新品パッドを購入して交換の準備を整えておこう。
限界が来たパッドは熱が伝わりやすくフェードしやすいので注意!
キャリパーの揉み出し!
食器用洗剤を薄めたものと、ナイロンブラシで徹底的に掃除する!
ブレーキホースをねじったり、無理に引っ張ったりしない様に気をつけて作業して下さい。
パッドを外した状態でブレーキレバーを握るとピストンが出てくるので、ピストンの側面をしっかり掃除しよう!
ピストンが出るとブレーキフルードもそれに合わせて減るので、リザーブタンクのフルード量をしっかり確認しながら作業しよう!エアーが混入するとエア抜き作業が厄介だ!
キャリパーの内側の届かない場所は、ウエスを使って掃除しよう!
終わったらシリコングリスを塗り、指でピストンを押し戻し、しっかり馴染ませるために数回繰り返しましょう。
次は反対のキャリパー。
片側のピストンにタオルを噛ませて、ウォーターポンププライヤーで固定しながらブレーキレバーを握る。
左右のピストンの動きがある程度均等になるまで作業を繰り返して下さい。
指でピストンを押し戻せる程度になればOK!
今回使用しているシリコングリスはこちら。
やはりケミカルの信頼性はダントツでワコーズ。値段は高いが性能がしっかりしている。
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スライドピンのグリスアップ!
片押しキャリパーの超重要部品、それがスライドピン…!
まぁキャリパーに大切じゃない部品なんて無いですが…、ブレーキキャリパーサポートとキャリパーについていて、これが左右に動くことでパッドがしっかり押し付けられる訳です。
ちなみに対抗キャリパーには付いていません!
普段は中身が見えない部分なので必ずチェックしましょう!
キャリパーサポートとキャリパーを引っ張るだけで外れます。
今回は片側のスライドピンがかなり汚い状態になっていますね。
グリスが入っているゴムブーツは引っ張ると外せます。
ゴムが切れていないか、確認したら中の汚れたグリスを取り除きましょう。
使うパーツクリーナーはゴム部品にも使えるか確認しておきましょう。
対応していないと一気に劣化して使えなくなってしまいますからね。
自分はグリスをこれで洗い流したら、念の為に水で中を洗浄して、紙のウエスで水分を拭き取っています。
両側のゴムブーツをキレイにしたら、キャリパーに取り付けてからグリスを注入しましょう!
グリスは適度に入れないとスライドピンを入れた時に、グリスの逃げ場がなくなりゴムブーツの隙間から出てきます。注意しましょう。
グリスアップしながら部品を組み付ける!
後は組み付けましょう!
パッドピンにはグリスを付けて組み付け、パッドピンのカバーにはガジリ防止のコンパウンドを塗布しました…。
いつか完全に外せない日が来そうで怖いですね。
最終的には壊れる覚悟でショックドライバーのお世話になりそうです…。
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キャリパーのボルトにはネジロック剤を!
まれに居ます…キャリパーのボルトを落とす人が…。
自分は今までネジロック剤無しでキャリパーボルトを締めていましたが、ブレーキトラブルは命に直結するので…。
使ったのは低強度のネジロック剤です。先端にちょっとつけるだけで十分です。
ネジロック剤は嫌気性なので、ボルトを締め込めば硬化が始まります。
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リヤ側は酷いの一言…。
オフロードバイクなので、リヤタイヤが巻き上げるゴミの量は尋常じゃないでしょう。
尋常じゃないほど汚れています。
リヤキャリパーは金属ピストンですね!
オフロードはリアブレーキを多用するし、走行風が当たらず熱の溜まりやすいリヤ側は金属なんでしょうね。
リヤキャリパーは金属製なので、ブレーキピストンプライヤーが使えます。
これメチャクチャ便利です。バイスペンチの様になっていてカチッと締め込んだら簡単にピストンを回転させられるので汚れを見逃さずに落とすことができます!
衝撃的な物が見えてしまいました…。
ピストンのダストシールが切れてはみ出してきています…。
そして、ピストンは傷&ヘコミだらけで瀕死の状態…。
これはシールがダメになるのは目前ですね…。
まぁ、キャリパーは予備があるので、ゆっくり部品の準備をしておきます。
まとめ!
掃除は徹底的に!キャリパー本体の落ちない汚れはある程度しょうがないが、ピストンの汚れは見逃さないように!
そしてグリスアップする場所は確実に!グリスは絶対に切らせないように!
重要な部品なので、確認する部分はしっかり確認してトラブルを回避しましょう!
重要な部分ほど、注意すべき点が多くなってしまって長くなってしまいました。
もっとサクッと説明できるようになりたいものです。